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2話 瓜ふたつ
僕たちはよく、瓜ふたつだねと言われる。
双子ではない。まして兄弟や親戚でもない。
小学校5年の時、彼が転校して来た。
彼の名前はマサハル君といった。
余りに似ていると怖くなるが、僕らはそれを通り越して、親友のように気心が知れた。何かにつけて、いつも一緒だった。
友達や先生、親にだって入れ替わっても気づかれなかった。またそれが面白かった。
ある日、マサハル君が「今日一晩だけ入れ替わらない?晩御飯、ママの誕生日でご馳走なんだ」そう言ってきた。
「ええ?そうなの?」うちは貧乏だから、マサハル君が羨ましかった。
「でも、いいのかなあ?」僕は少し、遠慮がちに聞いた。
マサハル君は、少し黙ってから「いいんだよ。友達なんだから」と笑った。
僕はマサハル君の部屋に1人で入った。「うわーすげーなあ。これ新しく出たゲームだ!」とあれこれ見て回った。すると「マサハル、ご飯よ」と下でおばさんが呼んだ。
「はーい」僕は、食卓のテーブルに腰掛けた。
おじさんと3人だ。料理は凄く美味しそうだった。
「さあ、食べましょう。最後の食事なんだから」とおばさんが言った。
どう言う意味か分からなかったけど、どれも美味しかった。
すると、あれ?なんだか…眠く…、僕は箸を落として、椅子から転げ落ちた。
「ごめんね。ごめんね」おばさんは何度も言っていた。そしてそのまま、意識が無くなった。
眼が覚めると、僕は病院のベッドの上だった。
お母さんに聞くと、マサハル君のお父さんが事業に失敗して、沢山の借金ができたらしい。親戚を渡り歩いたが、もう限界だったそうだ。
無理心中だったらしい。
幸いにも、誰も死ななかった。
それから間もなく、マサハル君は転校した。
家族で一からやり直すとの事だ。
でも、この話は誰にも言っていない。
マサハル君は、こうなると分かっていて僕と入れ替わったんだ。
僕は、なんだかマサハル君が怖くなってきた。
これはずっと、僕だけの秘密だ。
終わり
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