5話 ピザの宅配便

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3枚も注文しやがって!今日は見てろ! コウタは気合を入れた。 ロビーよし!エレベーターよし! そして20階までノンストップよーし! 20階に着くと、フロアは静かだった。 ドアの前に立ち、呼び鈴を鳴らした。 応答が無い。 また押した。シーン。 「ええ?何でだよ!」押し続けたうえに、ドアをバンバン叩いた。 「嘘だろ?」そして時間が過ぎた。 すると、隣の部屋のドアが開いた。中から、おばさんが出て来て「中井さんなら、今朝がた、旅行か何処かに出かけたわよ」と言うではないか。 「ほ、本当ですか?」またやられた! 「大変だね。ほら、これでも飲みな」おばさんは、冷たいジュースをくれた。なんだか、その優しさが今の僕に、凄く身にしみた。 店長に電話をかけて、確認すると「これ、良かったら食べて下さい」とコウタはピザを差し出した。 「ええ?いいのかい?」おばさんは驚いた。 「どうせ売り物にならないんで。残り物みたいで、申し訳ないですけど」 「なんだか済まないね。今度は注文するよ。覚えておいてね」おばさんはお礼を言ってドアを閉めた。 「岩田さんか」コウタは表札を確かめて、店に戻った。 それから3日後、岩田さんから注文があった。 コウタは喜んで、マンションに向かった。 すると、何とエレベーターは各階に止まって行った。「えー!んな馬鹿な?」 落ち込んで帰る時、先日のおばさんに会った。 「この前は言わなかったけど気を付けなよ。中井さんの隣の岩田さん。あれ母親だから」 えー?それを早く言ってよ! 終わり
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