1章・上

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医者の話を聞き流しながら父の事を思い返す。 決して器用な人ではなかった。 小学生の頃、何を思ったのか運動嫌いの僕にグローブを買い与えて、外に出て野球でもしてこいと漠然な事を言われたことがある。 決して野球をしたいなんて言ったわけでもなく、そもそも運動すらしたくないので、僕はそれを放置して家で本を読んでいた。 どうやら、それが父には納得できなかったらしく、外で遊んでこないならこんな物は捨てると言って本を奪ってしまった。 何一つ理解できない行動に、ただ、呆然としていたが、このままではどうにもならないと思い、仕方なく新品のグローブを持って家を出ることにした。
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