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「そんな事を考えながら映画を見た事はないや。けど、綺麗に作られてないようなあやふやな映画を見ると、少しだけモヤモヤする。彼らはこの後どんな最後を迎えたのか、それを製作者さえも知らないなんて無責任だろ?どんな理由で作られて、曲げられて、頓挫したのかは知らないけども」
未完成な映画なんて数える程しか見た事も無かったけど、なぜだかスラスラと話をしてしまう。
言葉を紡いでいる間だけはここにはあなたがいると思えたからなのかもしれない。
だけど、黙って聞いていた彼女が不意に振り向いた事によって僕の口は紡がれる。
唐突に壁は無くなって、世界の広さが狭まり、時が音を置いて止まる。
「ねぇ、サイダー飲みに行こうか」
そう言うと、透明な輪郭が色調を強めていき、微笑んだその顔がくっきりと網膜に焼き付いたんだ。
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