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四歩半の僕らの間を浜風が通り抜けて、流された彼女の髪の隙間から漏れる光が、万華鏡のようにキラキラと鮮やかで。
タイムマシンが、もし、あるのならば。
きっと、僕はこの瞬間に何度も帰りたくなるのだろう。そんな気がするんだ。
それほどにまでに僕はその瞬間に魅せられていた。これは写真にも、SNSに投稿もしない僕だけの世界の出来事。
こんな景色をこの先何度見れるのだろうか?
どこでもないここに今僕らがいる。
それだけの事でしかないけど、なぜだか忘れてはいけない気がした。
いつかはいろんな思い出も、見て来た景色も、やりきれない出来事も、覆い隠した痛みも忘れてしまうのかもしれない、脳の限界と寿命は、僕が大人になるにつれて少しずつ、この星の最後のように迫ってくるだろう。
それでも覚えていたいんだ。
そういえば、昔から疑問だったことが一つある。
未来や過去は安易に想像できるが、今っていうのはいつを指すのだろうか? そんな疑問。
その答えは目の前で視線向ける彼女が示しているのかもしれない。
今この時、現在、瞬間、それを確かに感じたんだ。
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