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そして、未莉にもし、見つかったとき、陸上部をどうしてやめたのか、いろいろ聞かれてしまうことを渉夢はまだ起こってもいないことを考えてしまいます。
渉夢は、未莉に見つからないうちに、今日のところは帰ろうと、階段を下りようとします。すると、ピアノの音が止まったのです。
気になった渉夢は様子を見に戻ります。第2音楽室の入り口をそうっとのぞくと、何と未莉の姿が消えていました。
「未莉先輩……」
焦った表情で第2音楽室の中に入った渉夢は、先輩の姿を探します。いくら、苦手な人とはいえ、急にいなくなってしまうと、心配になる渉夢です。
まさか、未莉はここから落ちたのではないかと、渉夢は最悪なケースを考えてしまい、すでに開いていた窓から外を見ました。
けれども、未莉の姿はなく、下校していく渉夢のクラスメートが見えただけでした。
ほっとした渉夢は、もう一度、第2音楽室の中を探します。
「もうとっくに私、見つかって、どこかに先輩が隠れてるなんてこともないか」
と、言いながら、彼女は先ほど、未莉が弾いていたピアノと楽譜を見ました。
「先輩、あんまり知らない曲を弾いてたけど、何の曲だったのかな。何となくだけど、先輩がいなくなったの、これに関係しているんじゃ?」
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