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水色の空にシャープの月が出ている上、きらきらの音符と、黒の音符がきれいに交差し合っていました。
「ピアノを弾いている間に、こんなところ来ちゃったけど、ここは……」
「ちょっとー、気持ち良く寝てたのに、何で地べたに下ろすのよー」
ここはどこかと渉夢が言おうとしたところ、彼女の近くから声がします。
「あれ?」
渉夢はクログーの方を見ますが、毛づくろいをしていました。気のせいかとまた空を見上げると、
「ここ、あたしがこれまで遊びに来たところと、ニオイがちがうわね」
と、また近くから声がし、渉夢はクログーからやはり声がしたと、ネコの方を見ます。
「クログーが今、言ったの?」
「そうよ。何かこっち来てから、人間の言葉が話せるわね」
確かにクログーはニャーと鳴かず、普通に口をパクパクと動かしていました。
「どうしてだろう?」
渉夢が首を傾げていると、ホトトギスのような鳥が1羽飛んできます。
「キョッ、キョッ、君たち、ここの異世界の人じゃないね?」
「あ、はい、地球人です。ここはどこですか? それと、鳥さんは言葉が話せるのですね。うちのネコもここに来てから言葉が話せるけど、どうしてですか?」
鳥の問い掛けに渉夢が答えると、鳥は渉夢の肩に止まり、
「ここは異世界ミュージーンだよ。人と動物が暮らしている音楽いっぱいの異世界だよ。僕が言葉を話せるのは、異世界ミュージーンに長く暮らしていたからかな。君のネコくん、地球だと言葉を話さないのかい。多分、君のネコくんが話せるようになったのは、ここに来たからじゃないかな。あ、そういえば、君たちの前にも、地球人って1人来たっけ。キョッ、キョッ」
と、答えました。
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