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「ありがとうござい……」
「ます?」
お礼を言おうとした渉夢たちでしたが、表情が固まってしまいます。先ほど、声を掛けてきた者が首の長いキリンだったからです。
「いいえ」
体長もかなり大きなキリンは長い首をおろし、渉夢たちを乗せようとしてくれます。
彼女たちが慎重にキリンの上に乗ると、キリンはゆっくりと首を上げました。
「あ、歌っている人たちがよく見える!」
渉夢はキリンの背中につかまりながら、上から歌手たちを見ます。歌手は7人で歌っていました。
「キリンさんに感謝ね」
クログーはキリンの頭の上からステージを見ています。
「あなたたち、わたしが怖くないのですね。この辺の人たちなんか、みんな、わたしを怖がるのですよ」
キリンは渉夢たちを乗せたままの姿勢で声を掛けました。
「そうなんだ。最初はびっくりしたけど、キリンさん、怖くないよ。君ほど体は大きくないけど地球にもキリンっているし」
と、渉夢が言うと、
「あなたたち、地球から来たの?」
キリンは尋ねます。
「うん」
「そうよ」
渉夢とクログーが答えたあと、キリンはにやっと笑い、いきなり、動き出しました。
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