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第1話、未莉先輩が消えた!?
若葉の季節が巡り、八分音符高校の校庭にある桜の木は緑の葉をたくさん生やしていました。夕方4時を回る頃、チャイムが鳴り、八分音符高校の生徒たちが次々と校門の外へ出て行きます。それぞれの教室でホームルームが終わり、放課後を迎えたのでしょう。
「バイバイ」
と、1年のクラスメートに手を振り、スクールバッグを持って教室から出た黒髪を水色のシュシュで1つしばりにした女子高生の名は、進実渉夢です。
渉夢は1年の教室を出て右にある1階の階段を上がり、2階の職員室の中に入り、部室の鍵を借りにきます。吹奏楽部に入っている渉夢は音楽が好きで部活が休みのときも放課後はよく、ピアノを弾きに部室は第2音楽室を使うようです。
「失礼します」
「あ、ゴー、第2音楽室の鍵?」
渉夢の声が聞こえ、彼女の担任の椎木桃乃先生が声を掛けてきました。ゴーとは渉夢のあだ名です。
「椎木先生、はい、そうです。今日も部室の鍵を借りにきましたよ」
「鍵ね、さっき、誰か借りに来たみたいよ。ごめん、ゴー、先生、誰が第2音楽室の鍵を借りに来たか、ちゃんと見てなくって」
「え、誰だろう。教えてくれてありがとうございます。失礼しましたー」
渉夢は職員室を出たあと、2階の階段から3階に上がり、すぐそこにある第2音楽室まで来ました。
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