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「ありがとう」
辻くんの声が降ってきて、辻くんは色葉の頭をふわりと撫でた。
(こんな積極的な辻くんは、やっぱり変だよ……)
色葉は、戸惑ってしまう。
それから、鳥居のあったあの場所を思う。
(あの場所は、辻くんの中にあるんだ……。そこに狐の大和もいる……? 辻くんの中に……)
人間の大和は色葉の手を取って、つないだ。
大和の手は暖かくて大きくて、テニスをしているからか、少しゴツゴツしていた。
ふと見上げると大和の頭の上で、狐耳が嬉しそうにピコピコしているのが見える気がして、色葉はついつい何回も大和を見上げてしまった。
目が合うたびに、大和は嬉しそうに色葉に笑いかける。前の辻くんでも狐の大和でもない大和の笑顔に、色葉はちょっぴり、いや、かなり? ときめいてしまう。
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