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もしかしたら、願いを叶えてくれるのではないか…そんな淡い期待を胸に、父の目を盗んでは、縁結びの神様がいらゃるというこのお寺で、私はあの人を待った。
いくら待っても来ない日もあれば…私よりも先に来て熱心に何事かを願っている時もあった。
私たちの関係は酷く不確かなものであったけれど…それでも、目を合わせて笑い会えることだけで私は幸せだった。
今となっては、あの人が私のことをどう思っていたのか…どう思っているのかということは、さして大したことではないのだ。
目まぐるしく移り変わる時代に、ただただ押し流されているあの人が、今何を想い描いているのか、知る由もないことが私の心を酷く悲しくさせるのだ。
あんなにも側にいたというのに…今はこんなにも遠い…。
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