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これは……バラしやがったな先生。せっかく友人達にも言わずにここまできたのに。
どこまでバラした?委員長が「あなた病気なの?」とストレートに聞いてこない所を鑑みると、手術のことまでは知らないのか?
わざわざ先生に問い詰めてまで、あの委員長が、連絡をくれたことは素直に嬉しかったが、これ以上心配だけはかけたくなかった。
「俺は元気だよ」
『…………証明』
「何?」
『じゃあ証明してよ』
委員長の声はイライラを隠しきれてはいなかった。まるで追試勉強の時のようだ。
その無理難題に俺は思わず笑ってしまった。
「証拠でも出せってか!いいんちょー、俺が証明問題苦手なの知ってんだろ?」
『……あのねぇ』
「それよりも、いいんちょー」
『…………何よ』
「いいんちょーは元気か?」
電話の奥の空気が和らいだような気がした。
委員長は呆れたように笑っていたんだと思う。
ああ。嘘でも真実でも、何かを誰かに信じてもらうのは、こんなにも難しい。だったら、とりあえず自分がそうであればいいと思うものを信じる他ない。もちろん、伝える方も伝えられる方も。
委員長が言ったんだろう?結局は、それぞれがどう思うかだ。
『えぇ。私も元気よ』
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