Noctiluca

1/2
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

Noctiluca

濃い目のアールグレイを スパークリングで割った 氷の風鈴 結露を落とす ねぇ いつか言っていた あの水辺に行きたいな もう一度 夏を繰り返そう 干からびた鱗が枯れる前に 蛍光灯じゃない灯りをみてみたい もうすぐ会えなくなるのを 嘘で隠して それでも本物の灯りを焼き付けてみたい あと少し あと少し 夏を連れて来よう もしも 私がいなくなった日常 あの宵の螢火に 私を思い出して 深海魚とも海月(クラゲ)とも違うという ()(もと)で見えない灯りをみてみたい 行き先が暗闇でもいい 夏の終わり 最初で最期の灯りを焼き付けていたい 夜が永遠になればいい 沈み逝く夏の 儚い光に願った
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!