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Noctiluca
濃い目のアールグレイを
スパークリングで割った
氷の風鈴
結露を落とす
ねぇ
いつか言っていた
あの水辺に行きたいな
もう一度
夏を繰り返そう
干からびた鱗が枯れる前に
蛍光灯じゃない灯りをみてみたい
もうすぐ会えなくなるのを
嘘で隠して
それでも本物の灯りを焼き付けてみたい
あと少し
あと少し
夏を連れて来よう
もしも
私がいなくなった日常
あの宵の螢火に
私を思い出して
深海魚とも海月とも違うという
陽の下で見えない灯りをみてみたい
行き先が暗闇でもいい
夏の終わり
最初で最期の灯りを焼き付けていたい
夜が永遠になればいい
沈み逝く夏の
儚い光に願った
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