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「っていうことがあったねー」
「ああ、あったな」
それから月日は経ち、俺たちは同居していた。
もちろん、部屋は分けてある。
どうやらヤツには実体があるらしく、食事も俺と同じものを食べる。
「そういや、明日で君に出会ってから4年目だねー」
ある日曜日、ヤツは急にそんなことを言い出した。
ヤツと暮らし始めてから、1年ごとに俺に幸せが訪れるようになった。
1年目は就職先が見つかり、俺はそこで働いている。
2年目はいつも文句を言ってくる隣人が、どこかに引っ越したようだ。
3年目には、念願の彼女ができた。
俺ってツイてる、やっと運が回ってきた。
俺は最近そう思うようになった。
「ねー、話聞いてる?」
ヤツは不機嫌そうな表情を浮かべ、俺をじっと睨む。
記憶喪失で、どのような経緯で神様になったのかは分からないらしい。
だが、元々は人間だったということだけは判明しているようなのだ。
「聞いてなかった、すまん」
ヤツは盛大なため息をついて、パソコンに向き直った。
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