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「もしもさ」
再び下りた沈黙を破ったのは、ヤツのその一言だった。
「もしも、その子が目の前に現れたら、君はどうする?」
「どうするって言ったって、そんなこと起こるわけがないだろう」
俺はそう高をくくり、腕を組み、足も組んだ。
ヤツは再び部屋へと戻り、なにやらバタバタしているようだ。
音が静まって帰って来たヤツの身体は、赤黒い液体で濡れていた。
両手は背中に回されているが、背中側から赤い華が廊下に散っている。
「それが、起きるんだよ」
いつもよりいくらか低い声でそう言いながら、両手を前に持ってくる。
そこには、例の友人の生首が座っていた。
「ねえ、この子は――君が殺したんだよね?」
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