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彼には、アレルギーがあった。
しかもそばアレルギーで、そばを食べれば一瞬で死にいたるほど重篤なものだった。
大晦日に仲のいい友人同士で集まり、年越しをすることとなった。
彼とは違う友人の叔父が所有する別荘で、俺たちは雪が舞う中、年越しを迎えた。
年越しといえば、年越しそば。
俺たちは、彼がそばアレルギーだということを知らなかったのだ。
加えて、彼は幼い頃にそばを食べてじんましんが出て以来、そばを食べていなかった。
彼自身も、自分が本当にそばアレルギーなのか知りたかったのだろう。
彼は「僕もそばが食べたいな」、そう言ったのだ。
俺たちはほんの少しだけだが、酒も飲んでいた。
みんな、理性を保つことなど出来なかったのだ。
そうして――いくつかの不幸が重なったせいで――彼は、命を落とした。
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