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僕が小さな君と出会ったのは、偶然だった。
ぽかぽかのお日さまが気持ちよくて、日向ぼっこをしていたら、大きなお家の二階の部屋に君は大切に運ばれてきたね。
大きなベッドに寝かせられた君は本当に小さくて、産まれたて。幸せのかたまりで、ぽかぽかのお日さまよりも暖かい熱を感じた。
君を世話する人は数日ごとに変わって、長くても一週間。一日で変わった事もあった。一番最初に君をこの部屋に運んできた女の人は、あれから現れなかった。
それでも君は小さな猫みたいな泣き声をあげたり、お腹いっぱいにミルクをのんだりして、少しずつ大きくなっていった。
首が据わった日、寝返りをした日、ハイハイした日、つかまり立ちをした日、二本の足ではじめての一歩を踏み出した日。
君のはじめてを、僕はずっと見ていた。
晴れの日も、雨の日も、雪の日も、暑い日も、寒い日も。
君の生きている姿を、窓辺に近い木の枝の根本で。ひっそり、こっそり。
見つからないように。
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