五章 命の話

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 梶原さんが帰って行って、私は行き場のない言葉を満作にLINEでぶつけていた。直ぐに既読にはならずに、その日の深夜に満作から返事がきた。    “ごめん、今仕事終わりました。  梶原さんが今日そちらに伺ったと聞きました。  僕もその話が聞きたい。今電話してもいいかな?もう寝た?”  今度は私が寝ていた。次の日は月曜日で私は朝から仕事だった。  すれ違いの日々の中で、私たちは時々心を通わせながら寂しさを誤魔化しながら二人だけの幸せを模索してやってきた。事実婚とも少し違うし、恋人とも少し違った。静かな連帯感だけがあった。私はそれで充分だった。
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