八章 一度忘れた。

4/4
前へ
/48ページ
次へ
「帰って来る途中、凄く夕焼けが綺麗でね、満作と一緒に見たいなって思ったんだ」 「うん、確かに綺麗だ。ここからだってほら、見えるよ」  満作が私の後方を指差した。私が振り返ると、夕焼けが畑を照らしていた。眩しくて胸が締め付けられた。やけに綺麗に見えたのは、今思えばそういうことなんだろうけど、その時の私にはぼやけてよく分からなかった。 「今から風呂入って、ビール飲みながら晩ご飯一緒に食べて、一緒に寝ますか。明日久し振りにオフなんだ」  満作が言った。 「うん、いいよ」  私はそう答えていた。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加