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(そういえば、若菜は原田に話したのかな)
若菜を家にあげてすこし話をした時、若菜も原田と話すと言っていた。
あいつのことだから……ちゃんと話しているんだろうけど……。
(異動先で慣れるのに精一杯で、そのことも忘れてた)
気が回らないというか、こういうところが俺の悪いところだろうな。
話はきっとしているだろうけど、若菜は原田の話をしてこない。
たぶん俺がいっぱいいっぱいなのを見越して、負担にならない程度の身の上話しかしなかったんだろう。
……そういうところに俺は今まで甘えていたんだろうな。
もしかして、俺はあいのそういう気遣いにも気付いてきていなかったかもしれない。
(あぁ、最低じゃん、俺)
今更ながら申し訳なさが募るが、まずは原田だ。
あいつときちんと話をしないといけないし、それ抜きで前に進むのはやっぱりナシだから。
そういういろんなものが終わったら、今度こそ若菜のことをもっと考えよう。
もっと大事にしよう。
俺にとって若菜は当たり前に大きな存在で“大事”だったけど、それって若菜に伝わってなかったんだよな。
これからは俺が変わろう。
若菜が俺に大事にされている、と実感できるくらいに。
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