清水湊side3

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「お疲れ。今日仕事終わったら電話したいんだけど、できる?」 メッセージを送信する前、一瞬見えないけど重たいなにかがズン、とのしかかった。 だけどそれを振り払うように送信してしまえば、重苦しさはゆっくり消えてなくなる。 もう後には引けないと、自分なりに腹もくくったんだろう。 ふぅ、と小さく息をついて、座っていた椅子から立ち上がった。 ふいに若菜が頭をよぎり、テーブルに置きかけたスマホを握り直した。 若菜とのチャットを開く。最後は昨日の夜送った「仕事終わった」「お疲れ」という文字で終わっていた。 その前のメッセージは若菜からで、若菜はあれから毎日短い連絡をくれる。 元々俺は用件しか連絡しない性格だから、雑談するというより若菜のメッセージに反応するだけになっているけど、それでも若菜から連絡がもらえると嬉しいし、なにより癒されていた。 これまで毎日やりとりすることなんてなかったから、付き合ったんだ、という実感も持てていることも嬉しい。 じんわりとした幸せを感じながら、若菜とのチャット画面を見て、指を動かした。 「今日は休みだから、昼まで寝た。夜原田に電話で話してみる」 送信して今度こそスマホをテーブルに置いた。 若菜はこれを見てどう思うだろう。 心配そうなあいつの顔が浮かぶ。 だからこそ、心配かけないようしっかりしないと、と自分に言い聞かせた。
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