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原田にメッセージを送った後、反応を気にしていたが、既読になったのは夕方だった。
既読にはなっても、相手から返事はこない。
原田の仕事が終わると思う時間になっても、メッセージは依然としてこなかった。
(まぁ……そうかもしれないな)
俺があいつの立場なら、話なんてしたくないし……当たり前か。
そう思うと暗い気持ちになったけど、連絡はないから、話せないとまだ決まったわけでもない。
だから連絡を待った。時間が経つごとに気が重くなるし、したくないのに嫌な想像ばかり勝手に浮かんできてしまう。
肺全体が重たく沈んでしまった感じもした。
もう原田は俺に愛想つかして、二度と連絡なんてしてこない気もしていたし、連絡をくれても、あいつにとっていい話にはならないのだから、どちらにせよこの苦しさは拭えないのもわかっていた。
はぁ、と知らず知らずため息ばかり口から零れる。
ほとんど食べていないのに腹も空かないし、転がったベッドから動けなかった。
そんなふうにしていても時間は過ぎて、横目で見たスマホの時刻は午後10時29分。
メッセージが既読になってもう5時間は過ぎた。
(もう、今日は無理かもな)
連絡が来ることを諦めかけ、風呂にでも入ろうと思った時、電話が鳴った。
ビクッと、自分でも大げさなくらいに肩が跳ねる。
スマホ画面に表示されていた名前は「原田」。
見た瞬間、大きく鼓動が騒いだ。
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