優くんなんてっ!!……大好き、なんだから。

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 観覧席の階段を駆け上がり、扉を抜けると今度は1階へと続く階段を駆け下りる。  優くんに、なんて声をかけていいのか分からない。  それ、でも……私がここにいることで、少しでも優くんの気持ちが楽になってくれたらいい。  1階まで下りきると、優くんが歩いて行くのが遠くに見えた。少し歩みを遅め、その後ろを歩いて行く。  どう声をかければ、どんな表情をしたら、優くんを励ましてあげられるの?  不安が渦巻く中、角を曲がった優くんの背中を追いかけて歩いていると、ダンッ!!と大きな音が響いて体がビクンとした。  そっと覗いた私の視界に映ったのは……  「……くそっ!!」  自販機に拳を当て、項垂れる優くんの姿だった。その背中は小さく震えている。  今まで、いつでも優くんは私の前では笑顔で、中学の試合で負けた時だって、『次は、絶対負けねーから』なんて話してた。  こ、んな……優くんの姿、見たことなかった。  優くんの押し殺した嗚咽が静かに廊下に響いてる。私は壁に強く体を押し付けて、両手を鼻と口に押し当てた。  ……泣くな、私。
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