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「ちょっと、休憩しようか。」
「はい」
新車の匂いに酔いかけていたとこだったので、助かった。中村さんが方向指示器を出し、車は吸い込まれるようにサービスエリアへと滑り込んで行く。
ここまでで、半分ぐらいかな。名古屋から埼玉は遠いな……
優くんはバドミントンの強豪校である埼玉の高校に入学し、寮生活を始めた。練習が厳しく、プライベートな時間なんて殆どない。高校に入ってから、優くんは一度も家に帰ることはなかった。
誰も知っている人がいない環境で、慣れないことの連続の中、バドミントンの練習に励んでた優くん。強いな、私ならきっと寂しくて泣いちゃうよ。
それなのに、私は……優くんの苦労なんて少しも考えてなかった。
毎日電話したり、LINEを送り続けてくれてたのに、優くんと向き合うことが恐くて、無視し続けてた。
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