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車から降りると、目の前にはリゾート地を思わせる可愛い街並みがあった。
「うわぁ、素敵!」
「地中海の港町をイメージして設計したらしいよ。せっかくだから、女の子が喜びそうなところで休憩しようと思ってさ」
サークルで何度か会ったぐらいの私に気遣い、試合会場まで運転してくれる中村さんに申し訳ないと思いつつ、ありがたかった。
お手洗いに行ってからカフェに行き、そこで軽く食べた後、駿河湾を一望できるという3階の展望テラスへと向かった。
夏休みを過ぎてから、優くんから電話もLINEもぱったりと来なくなった。優くんはもう、私なんか忘れて向こうでの高校生活を楽しんでるんだって勝手に思ってたけど、私が無視し続けたLINEには『大会で結果出すまで、ミーコに連絡するのやめる。それでも、俺の気持ちはずっと変わんねーから』って入ってて、そこで優くんの気持ちを知った。
11月の潮風は肌寒さを感じつつも、穏やかに凪いでいる海を見つめていると、気持ちが次第に落ち着いてくるのを感じた。
優くんに会ったら、今度こそ意地を張らずに素直な気持ちを伝えよう。
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