優くんなんてっ!!……大好き、なんだから。

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 4時間半かかって、さいたま市総合記念体育館に着いた。  1階のメインアリーナで、全国高等学校新人大会が行われている。私たちは、観客席のある2階に繋がるエレベーターに乗り込んだ。  この会場に優くんがいるのかと思うと、気持ちがそわそわして落ち着かない。  観覧席の下にはたくさんの校旗がずらーっと垂れ下がっていて、さすが全国大会の試合会場といった雰囲気だった。メインアリーナのバドミントンコートの側には出場校の選手たちが座る椅子が並べられていて、そこに優くんがいるんじゃないかと目を凝らしたけど、見つけることは出来なかった。  周りを見回すと優くんの高校の校旗が視界に入り、鼓動がドクンと高鳴る。その一帯の観客席は他の高校と比べて多くの人たちが座っていて、強豪校であることが見た目にも明らかだった。  「ここに座ろうか」  中村さんに促され、席に着いた。  団体戦は既に終了し、優くんの高校は男女各シングルス1チーム、ダブルス2チーム共に勝ち、優勝を決めていた。  これから、個人戦の男女シングルス、ダブルスの決勝戦がコート4面を使って行われ、優くんは男子シングルスの選手として出場する。  まるで自分が試合に出るかのような緊張感に包まれて、喉をコクリと鳴らした。  どうか、勝って! 優くん……
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