優くんなんてっ!!……大好き、なんだから。

7/20

63人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 『これより、全国高等学校新人大会 個人の部決勝戦を開始します……』  アナウンスがかかり、審判や線審と共に選手たちがコートに集まってきた。  そこに、優くんの姿を見つけて呼吸すら忘れ、息を詰めて見守った。優くんは観覧席を見上げることなく、精悍な顔つきで真っ直ぐに正面を見据えていて、ピリピリとした緊張感で張り詰めていた。  審判の説明の後、お互いに挨拶し、試合が始まる。低く野太い気合いの入った掛け声が双方から響き、ドクンと胸が高鳴り、思わず両手を握り締める。  試合相手は優くんと同じ高校で、強豪校だとこんなことがあるんだと複雑な気持ちになった。  「優作の高校は中高一貫校で、中学もバドミントン部が強いんだ。試合相手の青山くんはね、ここの中等部のエースだったんだよ」  中村さんの説明で、去年の中学での全国大会の試合を思い出した。  そうだ、相手校は埼玉で、そこのエースとぶつかったんだった。あの時、優くんは青山さんと決勝戦で戦って、接戦の末に勝って優勝したんだ。  ライバルと同じ高校に進学して、部の仲間として切磋琢磨して練習に励み、今こうして再び決勝戦で向かい合っているなんて、どんな気持ちなんだろう……  
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加