春画絵師の神様

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美晴は深い溜め息を吐いた。 自分の描きたい世界と大学で学ぶ事とのギャップ。 それでいて「学歴」という守り神を失ったら、とても不安な気持ちになるのだ。 大学は4年間ある。 単位を落とせばもっと長くなる。 そして大学院に進めば、その道を極める事になるので、更に道は開けそうではあるが、経済的に負担が大きい。 自分でアルバイトをしながらやっていくにしても、かなり厳しさを感じていた。 大学から斡旋してもらえる就職先も僅かにあったが、ブラック要素が強く、続けていけるか自信がなかった。 美晴は自分が考えこみ過ぎるきらいがあって、いつも立ち止まっては前に進むのが他の人よりも遅れてしまう事を苦にしていた。 頼りになるのは恋人の鉄也のみだった。 女友達は皆、自分の夢を切り開いているように思えて、なかなか相談しづらかった。
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