春画絵師の神様

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美晴は、いつしかその絵の女性に嫉妬していた。 何故なら鉄也の理想とする女性だったとしたら、あまりにも自分とは違い過ぎると感じたからだ。 大胆に乱れる姿は妖艶で、どこまでも自由だ。 蛸に襲われている最中でさえ快楽に浸れてしまえるのは、余程自分の魅力にも自信がある筈だ。 美晴は自分の肉体に自信がなかった。 胸の大きさは少し小さめだし、ずん胴だった。 平面的な体型で、男が好む体つきではないと自虐的な気持ちになっていた。 だから鉄也との愛を育む行為も、ぎこちなく、どこか固かった。 鉄也が時々見せる残念そうな表情を盗み見しながら、更に気持ちが沈んでいくのであった。 最近は食欲も落ちてきているので、あばら骨も見えてきていた。
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