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まだ、わたしのこと好きですか?
「あのー」
「な、なにかな」
緊張でカチコチに硬直している。にも関わらず、身体が震えていることがはっきりとわかる。
「まだ、わたしのこと好きですか?」
「え? それはどういう」
わたしは彼に一歩詰め寄った。
「もし、わたしのことまだ少しでも好きなら」
お付き合いしませんか? 彼の目を見て、はっきりと告げた。
「う、嘘だ」
「嘘じゃないですよ。わたしとお付き合いして下さい」
「だってこの前、俺が告白した時は」
「断ってしまいましたよね。ごめんなさい」
「だ、だから、どうして一度俺の告白を断った君が、付き合おうだなんて」
わたしはへの字口で眉根を寄せ、
「じゃあ、いいです」
「え?」
「わたしとお付き合いしてくれなくても結構です。お時間をとらせてしまい、ごめんなさい」
踵を返した。
「は、はぁぁ!?」
背後から彼の頓狂な声が聞こえたが、それを無視してわたしはその場を去ろうとし、
「ちょっと、待って!」
腕を取られた。
振り返ったわたしと彼の視線が結ばれる。
「だ、」
「だ?」
「ダメじゃない。お、俺と付き合ってくれ」
「あ、はい」
結局わたしは彼に二度告白させ、わたしたちはその二回目で交際することになった。
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