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そして、わたしたちが付き合い始めてから三年が経った。
「あ、あの」
「なんだよ」
萎縮してカチコチに硬直している。にも関わらず、身体が震えていることがはっきりとわかる。
「まだ、わたしのこと好きですか?」
「はぁ? それどういう意味?」
わたしは彼に一歩詰め寄った。
「もし、わたしのことまだ少しでも好きなら」
もう一度付き合ってくれませんか? 彼の目を見て、はっきりと告げた。
「冗談だろ」
「冗談じゃないですよ。わたしともう一度お付き合いして下さい」
「だってこの前、俺が振った時は」
「頷いてしまいましたよね。ごめんなさい」
「だからさぁ、どうして一度別れることに頷いたお前が、もう一度付き合おうだなんて」
彼はへの字口で眉根を寄せ、
「まあ、どうでもいいか」
「え?」
「お前なんかともう一度付き合うなんてお断りだよ。時間とらせんなよ、まったく」
踵を返した。
「うっ、うぅ……」
背後からわたしの嗚咽が聞こえているはずだが、それを無視して彼はその場を去ろうとし、
「ちょっと、待ってよぉ」
血を吐き出した。
振り返った彼とわたしの視線が結ばれる。
「だ、」
「だ?」
「ダメじゃないか。お、俺を刺しちゃ」
「あ、はは」
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