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こんな時代では、悪に限りはない。ある訳がない。彼等は良い。危険度の最も高い敵に挑んでいけば、それだけが正しい事だと信じている。しかし、そこから漏れた中位の、
ある程度の力を持つ敵はどうする?通常の軍隊じゃ、とても無理だ?
有象無象、無限に沸く敵に対処できる“丁度いい存在”が欲しい…
それもあんな年若い、まだ、戦いの何たるかも知らないような少女ではなくて…
「いないっすね、確かに。」
こちらの気持ちを呼んだように喋る、もう一人の男が隣に立つ。誰か?と訪ねる前に
彼の話は続く。
「狂信的武装集団“ボゴ・タルタ”5年前にどこぞのスーパーヒーローが教祖を倒したのはいいが、残党討伐を政府に一任しやがった。おかげで連中は暴れ放題、好き放題。
一つの町を占拠して勢力拡大中。って所ですかね?お役人さん?」
それを言われるとこっちが辛い。イタズラに部隊を派遣し、失敗した時の責任?
人的被害に対する遺族、家族、世間の批判を誰が被る?自身も含め、保身第一な
政府には到底無理だ。この男は全てを了解済みの上で言っているのだろう。
「だから、彼女が行ったんですね。人々を守るためという、純粋な正義を掲げてね。
美しい事じゃないっすか?そんな彼女が負け、これから処刑、それとも凌辱?どっちに
しろ、最悪な“BAD END”が待ってるという訳ですね?」
「我々にはどうしようもない。強い連中は、多少の犠牲はやむを得ないって、
のたまいやがる。1人の少女の命と世界どっちを取る?って事だ。
更に言えば、彼女達の仲間も行っても役に立たない。敵は“殺戮慣れ”した連中。
まやかしのような幻術や魔法攻撃なんかじゃ、
びくともしない。だから、適材適所。もっと、野蛮で汚れ仕事が似合う連中。
そう臓物出ても、頭砕け、何か血ぃバッシャーって感じを見ても、何にも動じない…」
「ハハ、まぁ、汚れ仕事専門って事ですよね?確かに彼女達の仕事ではないな。」
「笑い事か?あんな年端も行かない子供が、
これからどんな目に遭うと思う?貴様はそれを見ているだけか?」
男の笑いに何も出来ない自分だが、その鬱憤を押し付けるように憤ってしまう。
彼はその様子を“わかるわかる”という風に頷き、こう答えた。
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