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今となっては、いかに浅はかな考えを持っていたモノと気づく。しかし、
何もかもが遅い。自分にとっては完璧な幕切れだ。説得する男の声は耳に入らない。
世話になった身分だが、自死を止める理由にまでは至らない。
引き金を引く。乾いた銃声が響き、手元が熱くなる衝撃を味わう。死ぬ時は次々と
思い出が浮かぶというが、そんな感じはない。むしろ痛みが続いている。それも頭ではなく手の方が…目を開ける。銃が暴発し、手元を真っ赤に染めていた。
「は、早く手当を。」
慌てた男が立ち上がり、戸棚に向かう。その懐から1枚の紙片が転がった。
資料用に貼られた一枚の写真から視線を感じる。手から目を移せば、
華やかな衣装を来た少女がこちらを見ているように思えた。
(まだ、全てを成した訳ではないのか?彼女と戦う?それとも救えと?)
だから、死ねない。死ぬにはそれ相応の準備を、完璧である必要がある…という事か?
カルロの中で闘争の理念が戻ってくる。
「やる事があるようだ。」
救急箱を持った男に手を上げる。傷は完全に塞がっていた…
「あ~、という訳でさ。おたくはあれだろ?オタクだからさ。黙って、車に乗れよ。
案内すっから。」
「えっ?さっきの前ページと、待遇エライ違いじゃね?私のプロフは?“何でこの国にぃ”とか。そーゆう感じの奴とかさ。」
「いや、もう時間ないしさ。女の子死んじゃうからさ。お前行って、助けて、代わりに死んでこいよ。」
「“オッケー☆”って言う訳ねーだろ!何これ?せっかく自分より年下の上官、
クソロリ大佐殿ちゃんから逃げて!ここまで来たのにぃ~?お前さ。ラノベとかで
そーゆうシチュいっぱいあるけど、実際、こっちの好意ゼロの子と過ごすのって
胃に穴空きまくりだからね!
そんで、エスケープして!憧れの“JAPAN”で同人活動始めて、今週ビックサイト
でイベだってのに、何コレ?あり得ねぇよ!?」
「全く、クソ以下の理由を並べやがってよ。てかよ、へぇー、ほう?ふーん?いいんだ?」
「な、何だよ?脅しても、私には権利とか色んな法律が守ってくれるぞ?怖くないぞ?
べ、弁護士を呼んでよ。」
「わかった。そうしよう(男がタブレットを取り出し、操作し、自身に見せる)」
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