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絡まれるとめんどくさい。俺は小走りにそこを離れた。深夜だというのに六本木は道行く人が途切れない。この時間は遊び終わって帰る人達のラッシュアワーだ。スマホをチラ見して時間を気にしながら終電に急ぐ人、タクシー待ちに並ぶ人、滅多に来ない空車を待ちわびて交差点で車の流れを見つめる人、定員オーバーで乗れるか分からない深夜バスに並ぶ人、そんな人達が溢れている。俺はそんな人達に混じって急いでいた。
今日は中学卒業の打ち上げでカラオケに行った。中高一貫の私立男子校で高校の募集はしていないので全員持ち上がりだ。新高校一年生でも普通の新学期と変わりない。せいぜいクラス替えがあるくらいだ。そんな変わり映えのしない学生生活に彩りを添えたいと、カラオケを企画したのは確かに俺だ。でも鈴鹿啓太が勝手に近くの女子高から女の子を連れてきて合コンにしやがった。たまたま余裕のある部屋だったから入れたが、人数が合わなくて俺はあぶれるし、知らないうちに酒がテーブルに出ているし、最後は俺が会計している間に全員消えてるしと、散々な打ち上げだった。アイツら100パーお持ち帰りしたな。いつもの合コンだったら、むしろ俺が率先して一番可愛い子と抜け駆けするのがパターンだ。でも今日はなんだかダチだけでワイワイしたかったんだよ。それをあのバカチンが…。ヤベ、ループした。
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