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僕はじいじの方を見たけど、随分薮の中に入っているのか、姿が見えない。ここはハチを刺激しないようにしないとイケナイ。じいじはハチを見かけたら静かに立ち去るようにと言っていた。僕はゆっくりと立ち上がると、ハチから目を離さずに静かに動き出した。静かに静かに、最初の一歩がなかなか出なかったが、その後は段々と早足になった。数メートル離れたところで、ハチはパッと飛び立った!こっちに来る!
「うわ!」
僕の足は勝手に走り出した。とにかく離れなきゃ。幸い、足元は細いが平坦な道で、僕は林の中を全速力で駆け抜けた。
ガッ!僕は何かに蹴つまずいて転んだ。
「うわっ!あぶっ!痛てっ!」
一瞬ふわっと宙に浮くと、そのまま身体がクルッと回転した。背中のリュックがいいクッションになって衝撃を吸収した。ゴロゴロと転がって木の根本にぶつかってようやく止まった。
「アイタタタ…」
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