105人が本棚に入れています
本棚に追加
episode232 SとMの交錯
白いカーテンから洩れる朝日。
小鳥のさえずり。
枕元に運ばれたライムジュースの香りで僕は目を覚ます。
「おはよう、眠り姫」
「おはよう、王子様」
そして夢の続きのような甘いキス。
「よく眠れた?」
九条さんは素っ裸の僕とは対照的に
もうきっちりと皺ひとつないワイシャツを着こんでいた。
「いいや。誰かさんが一晩中悪戯するから」
「本当に?」
「嘘だよ。凄くよく寝た」
ライムジュースを啜りながら
僕は不安げにベッドに腰を下ろした彼にすり寄った。
「和樹」
「ん?」
改めて名を呼ぶ
優しい声につられて顔を上げると――。
最初のコメントを投稿しよう!