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それで僕は意を決して――。
しかし外面は何もない風を装って
「お2人はその――征司お兄様の弱いところを見たことがありますか?」
聞いた。
「あの男の弱いとこだって?」
薫は足を投げ出すと
馬鹿馬鹿しいという顔してすぐさま首を横に振る。
「お姉様は?」
貴恵は計算高い目を光らせて
しばらく宙を睨んでいたが。
「例えばどんな?」
案の定もう一歩踏み込んできた。
「例えば――人より脆い一面とか。本人も自覚していないような弱さのことです」
僕は用意していた通り
何気ない笑みを浮かべ曖昧に答える。
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