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「僕が……お兄様を打つの……?」
鞭の柄を握る指先に力がこもる。
「ああ」
「なぜ?」
僕の唇が震えた。
征司は答えない。
軽く口端を上げるだけだった。
「知ってるでしょ?そんなの僕の趣味じゃないって……」
徐々に手が汗ばんでゆくのが分かった。
「それにこんな事する必要ないと思うの。僕らの関係は特別なんだ……他人がどうこう言えるものじゃないし……」
「ならやれ」
征司は鞭を握る僕の手を
抑え込むように掴んで言った。
「そう思うならなおさらやるんだ」
それは逆転の支配だった。
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