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自分の知らない自分を知る……?
その言葉が何度も頭の中でリフレインする。
「大した話じゃない。鞭で打つだけさ。死にやしないんだ」
現状を正当化するように言って
征司は挑発的に僕の顎先をすくい上げた。
「どうしても?」
光る眼に戸惑い続ける僕が映る。
「どうしてもだ」
形のいい唇は渇いた声を洩らして
瞬きも忘れた僕に小さく口づける。
ほんの一瞬。
互いの魂が交錯するようなキスだ。
それで――。
「いいですよ」
僕の中にも芽生えたのかもしれない。
「だけどやるからには徹底的に――」
僕は顎先をすくう征司の手首を鷲掴みにして言った。
「あなたを縛りつけて僕に許しを請うまでやめませんからね」
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