episode232 SとMの交錯

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自分の知らない自分を知る……? その言葉が何度も頭の中でリフレインする。 「大した話じゃない。鞭で打つだけさ。死にやしないんだ」 現状を正当化するように言って 征司は挑発的に僕の顎先をすくい上げた。 「どうしても?」 光る眼に戸惑い続ける僕が映る。 「どうしてもだ」 形のいい唇は渇いた声を洩らして 瞬きも忘れた僕に小さく口づける。 ほんの一瞬。 互いの魂が交錯するようなキスだ。 それで――。 「いいですよ」 僕の中にも芽生えたのかもしれない。 「だけどやるからには徹底的に――」 僕は顎先をすくう征司の手首を鷲掴みにして言った。 「あなたを縛りつけて僕に許しを請うまでやめませんからね」
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