episode232 SとMの交錯

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SとMは本来同じ素質であると読んだことがある。 サドかマゾかというのは単なる役割分担にすぎないと。 「クッ……」 「もっと欲しい?」 だとしたら僕の中には 相当なサディストが眠っているし。 「もっと僕の鞭が欲しいかって聞いてるんだよ?」 征司の中には 相当なマゾヒストが眠っているに違いない。 「ウッ……アアッ……」 鋭い音を立てて 無抵抗な背中に鞭を振り下ろす度。 「言ってごらんよ?お兄様――僕は和樹にどっぷり依存してるんだって。和樹がいなくちゃ生きていけないんだって言ってごらん?」 額に汗を浮かべて耐える どこまでもプライドの高い男の顔を見る度。 僕は得も言われぬ快感と そして今まで知り得なかった愛情が 心の底から湧き上がるのを感じていた。
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