episode232 SとMの交錯

26/30
前へ
/30ページ
次へ
あるいはこの行為に導くこと自体 もっときつく――それこそ本能的なレベルまで下って 僕を繋ぎ止めておく為の征司のシナリオかもしれなかった。 だとしたら僕は――。 「痛いの?お兄様――可哀想に。どう?痛いとこ舐めてあげようか?」 まんまと虜だ。 「痛いとこ舐めて欲しい?」 己がさんざん傷つけた背中に そっと指先を這わせれば。 「ウッ……」 征司の身体は痛みのせいか それとも快感を覚えてか――。 チャリン。 繋がれた両手のチェーンを鳴らしながらビクンと跳ねた。 「ああ……なんて愛おしいんだろう、お兄様」 僕は思わず感嘆の吐息を洩らして もう一度鞭を取ると 「ァッ……クッ……!」 追い打ちをかけるようにもう二、三度。 撓る凶器を振り下ろした。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加