episode232 SとMの交錯

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「抱けば抱くほど肌から寂しさが伝わって来てさ――僕じゃどうにもならないのかって――妬けたよ、正直」 あくまで穏やかな声音で言って 九条さんは僕の肩先にキスを落とした。 「でもそれでもいいんだ」 「九条さん……」 「君が僕の隣を選んでくれた。僕はそれだけで十分」 頭が心が違う男に支配されていたとしても。 この人は許してくれると言う。 「僕、ちゃんとあなたの事考えているよ?愛してるもの」 こちらの方が不安になって 僕はすがりつくように九条さんの首根っこに抱きついた。 「こんなにこんなにあなたを愛してる。分かってよ、ねえ……分かって」
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