episode232 SとMの交錯

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「目が覚めたよ、和樹――」 尖った肩甲骨を寄せて 自分の背中を鏡に映し 「それにしても随分派手にやってくれたじゃないか」 征司は呆れたように頭を振る。 「一体……」 狐につままれたような気分だった。 いや狼か――。 「九条敬に仕返ししないとな。あんな変なセミナーに俺を連れて行きやがって」 完全に開眼した王様は 眼光も鋭く僕に向き直る。 「だけどその前に――」 「ンッ……!」 征司は当然のように僕の手首を掴み上げ 先刻まで己を繋いでいた鎖を巻きつけた。 「お兄様と遊ぼうか?和樹――」 僕はなす術もなくあんぐりして さんざん兄を打ち付けた馬上鞭を取り落とす。 「い、いやぁっ……!」 そして立場が逆転した。 いや、逆転じゃないか。 僕らが元いた世界に戻っただけだ――。
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