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「分かってるよ。君がいつも僕の事愛してくれているのはちゃんと分かってる」
彼は僕みたいにもっともっとと言って求めない。
人格者な上、本当に謙虚な人だから。
「ねえ九条さんどう思う?」
「何?」
優しく背中を摩る手が止まり
美貌の恋人は僕の顔を覗き込んだ。
「僕が依存症でないって本当かな……?先生言ってたでしょ。僕はもう外の世界に飛び出しているって……他人と――それはあなたの事だけど――本物の信頼関係を持ち始めてるってさ」
そして征司に言った。
『あなたが繋ぎ止めてる。
無意識の刷り込み。
あらゆる手を使って――』
夕べから何をしていても
その言葉が耳を離れなかった。
僕でさえそうなんだ。
言われた本人の方は
きっともっと打ちのめされているだろう。
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