episode232 SとMの交錯

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「分かってるよ。君がいつも僕の事愛してくれているのはちゃんと分かってる」 彼は僕みたいにもっともっとと言って求めない。 人格者な上、本当に謙虚な人だから。 「ねえ九条さんどう思う?」 「何?」 優しく背中を摩る手が止まり 美貌の恋人は僕の顔を覗き込んだ。 「僕が依存症でないって本当かな……?先生言ってたでしょ。僕はもう外の世界に飛び出しているって……他人と――それはあなたの事だけど――本物の信頼関係を持ち始めてるってさ」 そして征司に言った。 『あなたが繋ぎ止めてる。 無意識の刷り込み。 あらゆる手を使って――』 夕べから何をしていても その言葉が耳を離れなかった。 僕でさえそうなんだ。 言われた本人の方は きっともっと打ちのめされているだろう。
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