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「んー、分からないな」
珍しく弱気な口振りで
九条さんは首を横に振った。
「正直、君と彼の関係について僕が深く考えるのはいい事じゃないと思うんだ」
僕とは真逆の思慮深い彼氏は
いつもこれ以上ないほど理性的な判断を下す。
「その問題について考え出したら僕の心はひどく乱れる。僕の心が乱れたら君も困るだろ?君を困らせたくはないし、嫉妬や憎しみで愛する人を追い詰めるなんてごめんだ――僕はしたくない」
特に我が家に来てからは
それが彼の役割のようになっている。
「僕が胸を張って言えるのは――和樹、君が誰を想っていようと、何度僕を裏切ろうと僕は許すし」
九条さんは僕の髪を梳き
柔らかく唇を撫でると微笑んだ。
「永遠に君という人を愛してる。それだけ――」
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