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そこなんだ――。
そんなことまで言われたら
けしてこの人を裏切れないと思うのが人の常だ。
しかし稀有な浮気者にとっては
それはありがたい言葉であると同時に
『やっぱり僕は何をしても許されるんだ――』
ストレートに
許可の言葉として受け取れるわけだ。
「ねえ、もう一度抱いて」
そんな自分のズルさをごまかすように
僕は愛する人にすがりついた。
「今かい?」
「今じゃダメ?」
九条さんは腕時計に目を走らせたけれど。
答えは既に決まっていた。
「知ってるだろ?君の誘惑に勝てるものなんて何もないって」
「なら来て」
九条さんは僕の手が導くまま
ベッドに上がってきて裸の僕を抱きすくめた。
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