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結局
義兄に存分に愛された朝の情事の後。
僕は名ばかりの実兄を探して一旦屋敷へ戻ることにした。
もうブランチにしても遅い時間。
「ん……?」
キッチンから漂う甘い香り。
そして美しいバイオリンの音色につられて
僕は食堂に顔をのぞかせた。
「ストップ。胎教に悪いのが来たわ」
そこにいたのは
「ごきげんよう貴恵お姉様。薫お兄様もおそろいで」
久方ぶりに姿を現した性悪妊婦と
麗しき巻毛のバイオリニストだった。
「お邪魔でしたか?」
僕はにっこりと笑ってそれでも
「ま、そう言われても去る気はないですけれど」
3段重ねのケーキスタンドに
色とりどりのスイーツが盛られたテーブルへと近づいてゆく。
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