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「シューの中身は何クリームですか?」
「ピスタチオよ。部屋に持って戻ったらどう?」
「イヤです。ミントのゼリーはある?」
「いいえ。ゼリーはレモンだけ。外に食べに出るといいわ。今すぐ」
丸くなったのはせいぜい体型だけで
相も変わらず女王様は意地悪く僕を突き放す。
「そんなに邪険にしなくてもいいでしょう?これでもお姉様のお身体を心配していたんですよ」
僕はミニチュアサイズのタルトを手に取り
頬張ると言った。
「あなたの旦那様と一緒に――」
甘いデザートたちを挟んで
文字通り僕らの間に見えない火花が散る。
「一戦やりあうなら俺はこれで消えるぞ?」
薫は面倒くさそうにバイオリンを下ろすが
「いいえ。やめないで。お腹の子に弾いてやると約束したでしょう?なんたって将来天宮家を背負って立つ唯一の跡取りなんだから。そういうわけだから消えるのはあんたよ、和樹」
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