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椿が髪を乾かし終えてリビングに行くと、庸介がレコーダーを操作しているところだった。テレビには録画されたこの間のドキュメンタリー番組が映し出されている。
椿の表情が一瞬強張った。それを見たのか見ていないのか、庸介はテレビを消した。
「寝ようか」
思わず椿は時計に目をやる。まだ十時だ。
「それは、斉木さんのですか?」
「ああ。メールしたら、明日会社に行くと言うから渡しといてもらえるかな?」
静かな部屋にレコーダーの小さな低音が響く。椿は何かを決意したように、テレビのリモコンを手にするとソファーに座った。
「明日も仕事だろう? 寝たほうがいいんじゃないか?」
「寝ません。途中までしか観ていないので、庸介さんの番組観たいです」
なんとなく庸介の嫌そうな雰囲気が伝わる。
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