庸介の夢 9

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 椿が髪を乾かし終えてリビングに行くと、庸介がレコーダーを操作しているところだった。テレビには録画されたこの間のドキュメンタリー番組が映し出されている。  椿の表情が一瞬強張った。それを見たのか見ていないのか、庸介はテレビを消した。 「寝ようか」  思わず椿は時計に目をやる。まだ十時だ。 「それは、斉木さんのですか?」 「ああ。メールしたら、明日会社に行くと言うから渡しといてもらえるかな?」  静かな部屋にレコーダーの小さな低音が響く。椿は何かを決意したように、テレビのリモコンを手にするとソファーに座った。 「明日も仕事だろう? 寝たほうがいいんじゃないか?」 「寝ません。途中までしか観ていないので、庸介さんの番組観たいです」  なんとなく庸介の嫌そうな雰囲気が伝わる。
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